女性必見!産婦人科医がすすめる「子宮頸がんにならない方法」

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予防医療普及協会とは

20-40代の若い世代に急増している子宮頸がん。その原因のほとんどはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によるもの。ワクチンで感染を防ぐことができ、検診で早期発見すれば子宮をとらずに治療することも可能ですが、日本ではワクチン接種、検診のいずれも低い実施率にとどまっています。
子宮頸がんは進行すれば命に関わることはもちろん、手術で命が助かったとしても子宮を失うことに加えて、リンパ浮腫などつらい後遺症に苦しむ可能性があります。
子宮頸がんの原因や治療方法、早期発見と予防について、ご自身も毎年検診を受けているという産婦人科医で予防医療普及協会顧問の稲葉可奈子先生にお話をうかがいました。


監修ドクタープロフィール:
稲葉 可奈子

医師・医学博士・日本産科婦人科学会専門医。予防医療普及協会 顧問。
2008年京都大学医学部卒業、京都大学医学部附属病院での初期研修ののち、産婦人科へ進路を決め、東京大学医学部附属病院、三井記念病院を経て、東京大学大学院にて医学博士号を取得。現在、関東中央病院産婦人科に勤務。

子宮がん検診について:子宮頸がんと子宮体がんの違い

編集部さっそくですが、先生のところに「子宮がん検診」を受けに来た方には「子宮頸がん」という病気のことをどのように説明されていますか?
稲葉先生皆さんよく自治体などから送られてくる検診のお知らせを見て、受診票を持って来られるのですが、検査結果を聞くときになって「私が受けたのは子宮がんの検診ですよね?」というくらい、子宮頸がんと子宮体がんの区別がついていない方はけっこういらっしゃいます。
私は検査をするときにも、結果をお伝えするときにも、「子宮頸がんの・・・」と言ってお話をしているのですが、なかなか分かりづらいのだと思います。
中には子宮の形すらイメージできていない方もいると思いますので、子宮の入り口にできるのが「子宮頸がん」で、奥のほうにできるのが「子宮体がん」なんですよ、という本当に基本的なところからお話をしています。
子宮体がんの検査については、不正出血がある方や超音波検査で疑わしいところがある場合にだけ積極的におすすめしています。それはなぜかというと、子宮体がんは奥のほうの検査なので、子宮頸がんの検査に比べると痛みが強いんです。
痛いからやらなくていい、というわけではないのですが、超音波検査である程度あやしいかどうかが分かりますし、超音波検査をすることで卵巣もチェックできるので、子宮体がん検査よりもまず超音波検査をすることをおすすめしています。
編集部子宮頸がんと子宮体がんの検査はまたちょっと違うということですね。では、子宮頸がんの検査は具体的にはどんなことをするんですか?
稲葉先生子宮の入り口のところをこすって細胞をとって、顕微鏡で詳しく見る細胞診(さいぼうしん)という検査をします。
編集部細胞をとって調べるんですね。痛くはないんですか?
稲葉先生子宮の頸部(けいぶ)というのは入り口のところで、そこをブラシでこするだけなので、そんなに痛くはないです。ただ、緊張で体に力が入ってしまうと、診察器具が入るだけで痛みを感じられてしまう方もいらっしゃいます。そういう方には、リラックスできるよう声かけをしています。細胞診はスクリーニングといって、まずはがんの疑いがあるかどうかをふるいにかけるための検査です。その結果、疑わしいところがある場合には、次の段階の精密検査として組織の検査をします。
編集部血液検査などではわからないんですか?
稲葉先生内診台に上がって検査を受けることには誰しも抵抗があるので、「血液検査ではわからないのですか」という方もいらっしゃるのですが、残念ながら子宮頸がんの場合、がんになる前の状態や初期のがんを血液検査で調べるということは、今はまだできません。でも、逆に言えばすべての病気が細胞を直接見られるわけではないので、子宮頸がんについては細胞を直接とって調べられるという点で、他の病気と比べても検診を受けるメリットは大きいと思います。

20歳以上の女性は全員、子宮頸がん検診を受けたほうがいい

編集部子宮頸がん検診はたとえば何歳になったら受けたほうがいい、というのはありますか?
稲葉先生20歳以降の女性は全員受けたほうがいいです。
編集部性交渉の経験があるかどうかは関係しますか?
稲葉先生子宮頸がんは性交渉によるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因となることがほとんどなので、性交渉の経験がなければ可能性はかなり低いのですが、ウイルスの感染が原因ではない子宮頸がんもごく一部ありますので、毎年ではなくてもいいのですが、機会があれば検診を受けることをおすすめします。

もし子宮頸がんが見つかったら:どんな治療をするのか

編集部検診で子宮頸がんが見つかったとして、手術をすればがんは治せますか?
稲葉先生子宮頸がんになる前の前がん病変である「異形成(いけいせい)」という状態で見つかれば、子宮をとらずに治すことができます。異形成は軽度・中等度・高度の3段階に分かれますが、軽度や中等度のうちは自然に正常に戻ることもあるので、治療はせずに様子をみて、高度異形成になったら治療をおすすめしています。
それもレーザーで焼くか子宮の入り口だけを円錐状に切り取る手術(円錐切除術)なので、子宮そのものは残すことができますし、そのあとに妊娠・出産することも可能です。
ただし、円錐切除術の場合は、ほんの少しですけど子宮の入り口を切り取るので、そのあとに妊娠したとき、切迫早産のリスクが上がることもあります。
もちろん、異形成にならないことが一番望ましいので、そういう意味では、そもそもの感染を予防するワクチンはとても効果的です。

編集部早期発見できれば子宮をとらずに治せるんですね。でも、がんが進んでしまうとやはり子宮をとらなければなりませんか?
稲葉先生上皮内がん(じょうひないがん)という、初期の段階までであれば円錐切除術で取りきれる可能性はあるのですが、円錐切除術をした結果、実はがんが思ったより広がっていて、すでに上皮内がん以上の段階に進んだ状態だった場合には、やはり子宮をとらざるを得ないこともあります。子宮頸がんで子宮をとる場合、子宮のまわりにあるリンパ節なども含めてとってしまうことがあるので、リンパ浮腫といって、象のように脚がむくんでしまうこともあります。そうなるとご本人の生活の質が大きく損なわれてしまいますので、もう妊娠・出産を考えていないという年代の方であっても、命さえ助かればいいという問題ではなくなってきます。

編集部がんがさらに進んでしまえば、命にもかかわるわけですよね?
稲葉先生見つかるのが遅ければ、そもそも手術できないこともあります。すでにがんが全身に転移している場合には、子宮をとっても根治できない上に、むしろ体へのダメージが大きくなってしまうので、放射線治療や抗がん剤による化学療法しか治療法がないというケースもあります。

子宮頸がんはどうしてできる?ヒトパピローマウイルス(HPV)について

編集部これまでのお話の中でも、子宮頸がんの主な原因はウイルスの感染だということや、それがワクチンで予防できるということが出てきましたが、そもそもこれはどんなウイルスなんですか?
稲葉先生子宮頸がんの主な原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)は、誰しもが感染しうる、ごくありふれたウイルスです。女性の約80%が一生のうちに一度は感染するといわれています。ですから、一度でも性交渉の経験があれば、感染したことがあってもまったく不思議ではありません。それが不運なことにたまたま持続感染してしまって、異形成(いけいせい)と呼ばれる状態になって、本当に運悪く少しずつ進行してしまったときに子宮頸がんになってしまうんです。

編集部ヒトパピローマウイルスに感染したからといって、必ず子宮頸がんになるわけではない、ということですね。
稲葉先生そうです。じゃあ、どういう方が持続感染して、さらにそこからがんになっていくのかというと、まだ明らかになっていない部分も多いですが、喫煙(タバコ)はリスク要因といわれています。それ以外では、日ごろの生活習慣のせいで子宮頸がんになってしまうというようなことは言われていません。

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)とは?

編集部ワクチンで子宮頸がんはどれくらい予防できるんですか?
稲葉先生ヒトパピローマウイルスの種類はたくさんありますが、16型、18型という2つのタイプのがん化率が特に高くて、子宮頸がん全体の約7割を占めています。
子宮頸がんワクチンはその16型、18型の感染を予防することができるという点で、とても大きな意味があります。
編集部はしかみたいに一度打ったら一生かからないというようなものとは違うんでしょうか?
稲葉先生早くからワクチン接種が導入された国では、10年ぐらいは実際に免疫が継続していることが確認されています。その先はあくまで理論上の推定ですが20年以上は免疫が持続すると考えられています。一生のうちで性交渉の頻度が高い期間などを考慮すると、赤ちゃんのうちに接種するのはまだ早すぎるかもしれないということで、中学生ぐらいの年齢が一番効果的だろうといわれています。
編集部子宮頸がんワクチンの接種は3回打つと聞いたのですが?
稲葉先生日本では現在、子宮頸がんのワクチンは合計3回接種することになっています。
国内で承認されている2種類のワクチンのうち、サーバリックス®️は1回目の接種から1ヶ月後、半年後に接種します。もうひとつのガーダシル®️は、1回目の接種から2ヶ月後、半年後という間隔です。
編集部ワクチン接種を受けたいという人はどうすればいいんでしょう?あと、費用はいくらかかりますか?
稲葉先生小学校6年生から高校1年生の女子は、保健所に電話をすれば受診票が送られて来ますので、それを持って病院に行けば無料でワクチン接種を受けることができます。ただ、最近は接種者が減ったために病院に在庫を置いていないことも多いので、事前に病院に確認することをおすすめします。対象年齢以外の方は3回で約5万円の費用がかかります。

子宮頸がんワクチンの効果と安全性は科学的に証明されている

編集部ワクチンを打って具合が悪くなった人がいるという、いわゆる副反応については、実際どうなんですか?
稲葉先生ワクチンを打った直後に痛みや失神などの反応が起こった場合は、確かにワクチンの影響だと考えられますが、そのような副反応はすぐに回復しますので、ここではいったん置いておきましょう。そういったものとは別に、長期にわたって回復しないものとして、たとえば歩行困難や、不随意運動といって自分の意思と関係なく勝手に体が動いてしまったり、漢字がわからなくなったり計算ができなくなったりするような認知機能の低下、あとは生理不順など、全部で24種類の症状が挙がっています。
その中には頭痛などごくありふれたものも含まれていますし、統計の取り方はいろいろなので、中には接種してから数ヶ月〜数年も後に発症したケースも含まれていたりするんですが・・・結論から言えば、これらの症状とワクチン接種の因果関係は、実際には証明されていません。
編集部ワクチンを打ったことが原因でこういう症状が出た、という証拠はないんですね。
稲葉先生はい。逆に因果関係がないということを証明したデータはあります。「名古屋スタディ」といって、論文にもなっています。名古屋市が実施した24症状についてのアンケート調査で得られた回答約3万人分のデータから、年齢調整をして統計学的に解析をしたところ、ワクチンを接種した人たちのほうが接種しなかった人たちに比べて有意に高いという項目はひとつもありませんでした。むしろ、9症状ではワクチンを接種しなかった人たちの方が発症率が高いという結果でした。
つまり、ワクチンを接種しているかどうかに関係なく、そういった症状が出る方は一定数いるということが科学的にも証明されているんです。

編集部注:
Suzuki, S. (2018). No association between HPV vaccine and reported post-vaccination symptoms in Japanese young women: Results of the Nagoya study. Papillomavirus Research, Vol.5, p96-103.


https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2405852117300708

ワクチン接種と検診、子宮頸がんの予防にはどちらも大切

編集部ワクチンの安全性や効果についてはよくわかりました。では、ワクチンを打ったら検診は受けなくてもいいですか?
稲葉先生ワクチンを接種していても、ワクチンで予防できないタイプのヒトパピローマウイルスによる子宮頸がんになることはあり得るので、必ず検診は受けてください。
編集部逆に検診を受けていて「異常なし」の場合はどうでしょう?ワクチンを打たなくてもいいですか?
稲葉先生どうせ検診を受けないといけないなら、ワクチン打たなくてもいいじゃない、と誤解されやすいので繰り返しますが、検診はあくまで『早期発見』しかできません。つまり、すでに病気になりかけて(もしくは病気になって)はじめて見つけることができるのです。一方で、ワクチンは、そもそも病気になることを『予防』できるので、ワクチンはワクチンでぜひ接種して頂きたいのです。
編集部ワクチンはいつまでに接種すればよいのですか?
稲葉先生ワクチンを接種すればそれからあとの感染を予防できるので、ワクチン接種対象年齢より上の大人の方、つまりご自身が子どもの頃にはまだワクチンがなかったという世代の方が、20代を過ぎてからワクチンを接種しても遅くはありません。
編集部ありがとうございました。最後に、まだ検診を受けたことがないという人たちに対して、先生からメッセージをお願いします。
稲葉先生産婦人科医としてたくさんの患者さんを診てきた私自身、なりたくないと思う病気はたくさんありますが、子宮頸がんはその中でも五本の指に入ります。ですから、毎年検診はちゃんと受けています。産婦人科医は女性が多いので、男性の医師に診てもらうことに抵抗がある方は、検査の予約をするときに、女性の医師に対応してもらえるかどうかを事前に確認してもいいと思います。
「20歳を過ぎたら子宮頸がん検診」ぜひこのことを覚えていただいて、気軽に検診を受けに来てください。お待ちしています。

予防医療普及協会とは

2016年3月、経営者、医師、クリエイター、社会起業家などの有志を中心として発足。予防医療に関する正しい知見を集め、啓発や病気予防のためのアクションをさまざまな企業や団体と連携し、推進している。
これまでに胃がんの主な原因である「ピロリ菌」の検査・除菌啓発を目的とした“「ピ」プロジェクト”や、大腸がん予防のための検査の重要性を伝える“「プ」プロジェクト”を実施したほか、病気予防のための自己管理サービス「YOBO(ヨボウ)」をリリース。各診療科の専門医、歯科医など診療科や研究の専門領域を横断した医師団が集い、活動をサポートしている。
今後、「ピ」、「プ」プロジェクトに引き続き、子宮頸がん検査、HPVワクチンに関する正しい情報の発信、普及啓発を目的とした「パ」プロジェクトを実施予定。

一般社団法人 予防医療普及協会
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-33 プリンス通りビル2階
TEL:03-5226-1086 (10:00~17:00)
http://yobolife.jp/
お問い合わせ:office@yobolife.jp

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