網膜剥離とはどんな病気?

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網膜剥離とは、眼球内の網膜という膜が何らかの原因で剥がれてしまう病気です。視力の低下は勿論、最悪の場合、失明などの恐ろしい症状を引き起こしてしまいます。
格闘家やボクシング選手などが発症する病気というイメージがあるかも知れませんが、誰でも発症する可能性がある病気です。

網膜剥離とはどのような病気なのか、網膜とは、網膜剥離の症状、網膜剥離の治療法など、医科サプリ編集部がお届けします。

網膜とは?

網膜の働き

網膜は眼球の後面にある膜で、カメラのフィルムの様な役割をしています。眼球は手前から角膜(かくまく)、水晶体(すいしょうたい)という組織で構成されており、これらがカメラのレンズの役割をしています。

角膜、水晶体から入った光はピント調整され、フィルムである網膜にその映像を映しているのです。網膜の厚さは0.1mm~0.4mm程度ですが、網膜内には光に反応する特殊な細胞が約1億個以上存在します。

網膜に写しだされた画像は、この特殊な細胞の働きにより、脳に信号として送り出されています。角膜や水晶体が正常に働いていても、網膜が正常に働かなければ物を見るということは出来ないのです。

種類の視細胞の働き

網膜に存在する特殊な細胞は、視細胞(しさいぼう)と呼ばれており、錐体細胞(すいたいさいぼう)と杆体細胞(かんたいさいぼう)の2種類に分けられます。網膜に映る画像は、より正確にその情報を把握するために、この2種類の視細胞が上手く役割分担し、その機能を最大限に発揮しています。

錐体細胞は明るい場所を得意としており、色の認識をするために必要な細胞です。杆体細胞は暗い場所を得意としている細胞で、わずかな光でも物の形を認識することができますが、色を認識することは出来ない細胞です。明るい場所では、色や形を認識するための錐体細胞が働き、暗い場所では杆体細胞が物の形を認識するために働くのです。暗闇では物の形は分かっても、色は認識出来ないというのは、これらの2種類の視細胞の働きによるものなのです。物を見る、色を認識するためには、網膜の働きが重要となり、網膜内の視細胞の働きが欠かせないのです。

網膜剥離の原因

糖尿病性網膜症

血糖値が高い病気と知られる糖尿病ですが、実は網膜剥離の原因にもなる病気です。糖尿病は、それ自体では大きな症状が現れません。糖尿病を原因とした様々な合併症や症状を引き起こしてしまうのです。

糖尿病の3大合併症と言われているもののひとつに、糖尿病性網膜症があります。糖尿病では通常細胞内に吸収される糖が、細胞に吸収される量以上に血液中に浮遊するため、血管に障害を与えてしまいます。網膜へ栄養を送るための血管にも悪影響を与え、その結果発症してしまうのが、糖尿病性網膜症なのです。糖尿病性網膜症では、視力の低下や視野のかすみなどの症状がみられ、さらに症状が進行すると網膜剥離を引き起こしてしまいます

加齢

加齢に伴い、血管も老化していきます。目の血管は非常に細い血管であり、老化した血管では十分な栄養を運べない状態になってしまいます。網膜への血流が十分に運ばれない状態が続くと、網膜剥離の原因となる場合もあります。

また、血管だけでなく、眼球や網膜自体も老化により変性することがあります。網膜は眼球の後方にある膜で、その前にあるのが水晶体です。この水晶体が、老化に伴い網膜を引っ張ってしまう状態になることがあります。無理に引っ張る力が加わると、網膜に傷を作ってしまい、その傷から網膜が剥がれてしまうと、網膜剥離を発症してしまうのです。

頭部や眼球への物理的な衝撃

事故やスポーツなどで起こる、頭部や眼球への物理的な衝撃も、網膜剥離の原因となります。衝撃が網膜に達すると、網膜に傷や裂け目を作ってしまいます。この傷や裂け目が網膜剥離の原因となってしまうのです。網膜の裂け目を網膜裂孔(もうまくれっこう)と呼びます。1度に大きな衝撃が加わることでも網膜裂孔は起こりますが、頭部や眼球に継続的に小さなダメージが加わることも、網膜裂孔の原因となります。網膜裂孔は網膜剥離の第一歩ともいわれており、網膜裂孔が進行すると、網膜剥離となってしまうのです。

網膜剥離の症状

飛蚊症

網膜剥離は、初期の段階では痛みなどの気付きやすい症状はみられません。そのため、症状が進行してから気が付くという場合も少なくありません。

網膜剥離の初期症状として、注意しなければならないのが、飛蚊症(ひぶんしょう)です。飛蚊症は眼球の硝子体の異常が原因とされていますが、硝子体の濁りやしわ、萎縮により、視野に黒い線が見えてしまいます。この黒い線が、蚊が飛んでいるように見えることから飛蚊症と呼ばれています。硝子体の萎縮により、網膜が引っ張られてしまうと網膜剥離を引き起こすことにもなり、また網膜裂孔により飛蚊症が引き起こされることもあります。飛蚊症には、この他にも先天性のものがあり、硝子体や網膜の異常か、先天性の異常かを判断することが大切です。飛蚊症に気付けば、眼科での診察や検査をするようにしましょう。

視力低下・失明

網膜は、角膜、硝子体などと共に、物を見るという大切な働きをしています。網膜剥離とはその網膜が剥がれてしまう病気であり、物を見るという働きに大きな影響を与えます。網膜剥離が進行すると急激な視力低下や視野狭窄などの症状が出現し、最終的には失明してしまうこともあるのです。網膜の中心部分を黄斑(おうはん)といいますが、この部分まで網膜が剥がれてしまうと急激に視力が低下するといわれています。

網膜剥離の治療

網膜光凝固術

網膜に出来た裂け目、網膜裂孔の場合には、網膜光凝固(もうまくひかりぎょうこ)術がおこなわれます。網膜光凝固術では、瞳孔から特殊なレーザーを網膜裂孔部分に照射して、網膜を眼球後面に貼り付け、剥がれにくくする治療です。また網膜光凝固術は血流が悪くなった網膜に照射することにより、血流を改善させる効果もあります。

手術療法

網膜裂孔が進行し、網膜剥離となってしまった場合には、剥がれた網膜を再度眼球後面に貼り付ける手術が行われます。

しかし、手術をすれば完治するというものでもありません。剥離の程度や剥離部位によっては、症状が改善せずに、失明してしまうこともあります。また状況によっては手術を複数回おこなうこともあります。
手術法としては、硝子体手術や、強膜バックリング法などがおこなわれますが、病状により手術は選択されます。また高度な技術が必要となる手術でもあり、専門医が在籍している、手術実績のある医療機関を受診し相談することも大切です。

網膜剥離は早期発見と早期治療が大事

網膜剥離は、目のフィルム的な役割をする網膜が、様々な原因で剥がれてしまう病気です。初期の段階では痛みなどの分かりやすい症状がなく、発見が遅れてしまう可能性がある病気であり、症状が進行してしまうと、視力低下や失明などの危険のある恐ろしい病気です。しかし、早期発見、早期治療が出来れば、失われた視力や視野を回復できる可能性もあります。

網膜剥離ではないかと心配な方、飛蚊症などの症状がある方は、速やかに医療機関を受診し、早期の検査、治療を受けるようにしましょう。しかし、全ての眼科で治療ができるわけではありませんので、検査や治療が可能な医療機関、専門医のいる医療機関を受診するようにしてください。

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