緑内障の手術って?手術の適応から最新のチューブシャント術まで

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

緑内障は日本人の失明原因として一番多い病気です。眼圧が上がることで視野や視力に影響が出て来る緑内障の治療は、眼圧を正常に抑えることを目的に行います。緑内障の治療方法には、点眼治療やレーザー治療などがありますが、これらの治療で眼圧がうまくコントロールできない場合に必要になるのが外科手術です。

時に外科手術は緑内障の治療として必要不可欠なものですが、目の手術と聞くとやはり怖いですよね。そこで、今回は緑内障の手術について、手術適応から手術の術式、手術の合併症まで徹底的に調査しました。最近保険適応になった最新のチューブシャント術を含め、緑内障の手術に関して医科サプリ編集部がお送りいたします。

緑内障の手術が必要になるのはどんな時?

緑内障治療の目的は、眼圧を下げて視神経を守ること

緑内障は、眼圧が上がりすぎることで視神経に障害が起こる病気です。眼圧が上がってしまう原因は、眼球内にある眼房水が溜まりすぎてしまうことであり、眼房水の量をコントロールして眼圧を下げることが、緑内障治療の目的です。

眼房水は目の中の毛様体(もうようたい)で産生され、隅角(ぐうかく)から排泄されます。緑内障の治療では、眼房水が溜まり過ぎないよう、眼房水の産生量を抑制したり、排泄を促したりして、眼圧を正常に保ちます。

点眼治療やレーザー治療でコントロールができない時は手術が必要

緑内障の治療では、まずは点眼治療を行うことが多いです。点眼治療でうまく眼圧がコントロールでき、視力障害も進まない場合には、点眼治療を継続します。点眼治療でうまくコントロールできない場合には、レーザー治療が選択されることもあります。

点眼治療やレーザー治療でも眼圧がうまく制御できない場合や、視覚障害が進んでしまう場合には外科手術が適応になります。

手術は視野や視力を回復させるものではない

緑内障の治療は、眼圧をコントロールして視神経の障害の進行を防ぐものであって、手術を含めて視野や視力を回復させられるものではありません。また、手術をすればすべての人の緑内障の進行が抑えられるというものでもありません。

そのため、緑内障をできるだけ早く発見し、早い段階から必要な治療を行うことが大切です。点眼治療やレーザー治療でうまくコントロールできない場合には、病気が進行してしまう前に、必要に応じて手術を考えないといけません。

従来から行われている3つの緑内障手術

線維柱体切開術(トラベクロトミー)

初期から中期の緑内障に対して行われる手術です。眼房水の流れを妨げている線維柱体を切開し、眼房水の排泄路を確保するための手術になります。合併症が少ない比較的安全な手術ですが、重度の緑内障には眼圧低下の効果が少ない可能性があります。

術後は出血に伴って一時的に見えにくくなることがありますが、通常2~3日で改善すると言われています。入院の有無は病院によって違い、日帰り手術を行っている施設もあれば、1週間程度の入院が必要になることもあります。

線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)

線維柱体切開術では対応できない、進行した末期の緑内障によく行われる手術です。目詰まりしてしまった線維柱体を切除し、結膜と眼内の間に眼房水が流れるバイパス(抜け道)を作ることで眼圧を下げます。

眼圧下降効果としては最も期待できる手術方法ではありますが、合併症のリスクは線維柱体切開術に比べて高くなります。また、手術後眼圧が安定するまで、眼球マッサージやレーザーによる縫合糸切断、結膜の再縫合などのメンテナンスも必要になります。10日~2週間と少し長めの入院が必要になることがあります。

隅角癒着解離術

閉塞隅角緑内障で、隅角に虹彩と言われる膜が癒着してしまっているタイプの緑内障で行われる手術です。水晶体が厚くなって隅角が狭くなるケースも多いため、白内障手術を併用することも多いです。隅角癒着解離術と同時に水晶体を摘出する白内障手術をすることで、隅角が広がり、眼房水の排泄がより促進されやすくなるため、手術の効果が高くなると言われています。

2012年より保険適応!新しい手術法「チューブシャント術」

欧米では以前から行われていたチューブシャント術

シリコン製やステンレス製のインプラントを入れ、人工的に眼房水の出口を作るのがチューブシャント術です。海外では古くから行われてきた手術ですが、日本では2012年に保険適応になった比較的新しい手術です。

従来の濾過手術よりも眼圧の下がる効果が高く、合併症を引き起こす確率も少ないという報告もあり、緑内障手術の成績向上が期待される手術法です。入れるインプラントにより以下の2つに分けられます。

シリコン製インプラント「バルベルト」

バルベルトは、シリコン製のチューブとプレートを用いて、眼房水を排泄させる経路を作る手術になります。海外での手術報告は多いのですが、日本ではまだ手術例が少なく、現在の緑内障治療のガイドラインでは、線維柱体切除術など既存の緑内障治療でうまくコントロールできない場合に限り適応とされています。

ただし、他の手術法に比べると長期にわたり眼圧のコントロールが可能であるという報告もあり、成績のいい治療法として今後増えてくる可能性がありそうです。

ステンレス製インプラント「エクスプレス」

チューブシャント術のもう一つの方法が、エクスプレスというステンレス製のインプラントを入れる方法です。

エクスプレスは、従来の手術法に比べ出血や炎症のリスクが少なく、手術後の視力の回復が早いというメリットがあると言われています。手術成績や術後の眼圧に関しては線維柱体切除術とほぼ変わりませんが、金属アレルギーや狭隅角眼の人には実施できないなど適応には一部制限があります。

緑内障手術の合併症

出血

緑内障の手術による出血は、眼球内および白目に見られることがあります。通常の眼球内出血は数日、白目の出血は1週間程度で治まってくると言われています。

通常の出血以外に、まれに「駆出性出血」と言われる手術時の眼内の大きな出血がみられることがあります。駆出性出血は眼圧の急激な変化によって引き起こされるのではないかと言われていますが、駆出性出血が起こると手術は中止となり、失明のリスクもある合併症です。

眼内炎

手術の傷から細菌が入り込み、目の中に感染を起こすのが眼内炎です。緑内障手術をした0.1%の人に見られるとされており、感染予防のための術前・術後の点眼をしっかり行うことが大切になります。

線維柱体切除術の後には、長期の点眼治療が必要になることも多いです。

眼圧や視力の不安定

手術後に眼圧が上がったり下がり過ぎてしまったりすることがあります。また、視野や視力が一時的に悪化するケースもあります。基本的には徐々に落ち着くことが多いのですが、場合によっては何らかの処置や再手術が必要になることもあるので、何か気になることがある場合には、慌てず担当の医師に相談するといいでしょう。

自分に合う治療を選ぶためには手術を含めた治療方法の知識が必要

緑内障はたとえ手術をしたとしても視野や視力を回復することはできません。手術を含め、緑内障の治療はあくまで進行を抑えるためのものです。

目の手術と聞くと、怖くて抵抗がある人も多いと思いますが、怖いからと言って必要な治療を行わないと、取り返しがつかないほどの視野や視力の障害が起こってしまうこともあります。

手術の方法には従来からあるものだけでなく、チューブを使った新しい方法などもあり、その選択肢は増えてきています。手術方法の種類、それぞれのメリット・デメリットを知ったうえで、どの方法を選択するのかを主治医の先生と相談するようにしましょう。病院によってできる手術・できない手術もありますので、新しい手術方法をご希望する場合には、それができる病院にセカンドオピニオンを受けに行くことを考えてもいいかもしれませんね。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る