原発性硬化性胆管炎(PSC)の症状・原因・治療方法について

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原発性硬化性胆管炎(読み方:げんぱつせいこうかせいたんかんえん、別名:PSC)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、医科サプリ編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長

原発性硬化性胆管炎(PSC)とは

原発性硬化性胆管炎では肝臓内外の胆管に炎症が生じ、瘢痕化や胆管の狭窄が進行します。最終的には影響を受けた胆管が完全に詰まります。肝硬変、肝不全、またときには胆管がんが発生します。

引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/04-肝臓と胆嚢の病気/胆嚢と胆管の病気/原発性硬化性胆管炎

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長監修ドクターのコメント
原発性硬化性胆管炎は肝内外の胆管に原因不明の炎症が起こり、多発性・びまん性の狭窄が生じ、胆汁うっ滞(流れが悪くなる)をきたす慢性肝疾患で、病理組織学的(顕微鏡での検査では、)には、胆管璧の線維性肥厚を特徴とする予後不良な疾患です。次第に、胆汁うっ滞性肝硬変に移行していきます。
また、炎症性腸疾患を合併しやすいことが知られています(成人で約半数程度)。ただし合併した潰瘍性大腸炎は、通常の潰瘍性大腸炎とは異なる病態を示すことが多いといわれています。

原発性硬化性胆管炎(PSC)の症状

PSCでは黄疸やかゆみで発症することが多いですが、無症状のまま人間ドックや健診で肝機能検査や腹部エコー検査の異常を指摘され、それをきっかけとして診断される場合もあります。診断された後特に症状はないまま経過する方もおられますが、胆管が狭くなり胆汁の流れが滞ることによって起こる黄疸や皮膚のかゆみ、そこに細菌が感染して起こる胆管炎などの症状を伴うことが一般的です。

引用:厚生労働省難治性疾患政策研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」
http://www.hepatobiliary.jp/modules/disease/index.php?content_id=3

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長ドクターの解説
多くは無症状で、健診などでたまたまされた血液検査で肝機能異常を指摘され、診断に至ることが多いです。

原発性硬化性胆管炎(PSC)の原因

炎症性腸疾患を合併することが多いことから、大腸の働きが障害されて腸内細菌が持続的に肝臓や胆管に流入することや、免疫異常、遺伝的異常などが推定されていますが解明には至っていません。

引用:難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/3967

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長ドクターの解説
この病気の原因はまだわかっていません。

原発性硬化性胆管炎(PSC)の検査法

原発性硬化性胆管炎では、次のような臨床検査値の特徴があります。

1. ALP, γ-GTPの上昇
肝機能検査では、ALP, γ-GTPなどの胆道系酵素が上昇します。特にALPは必ず上昇するため、診断基準の項目の一つになっています。現在のところ原発性硬化性胆管炎に特異的な自己抗体は発見されておらず、原発性胆汁性胆管炎に特徴的な抗ミトコンドリア抗体は陰性です。一部の症例においてMPO-ANCAが陽性となることが知られています。
2. 画像所見
内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)やMRI膵胆管造影(MRCP)検査により、原発性硬化性胆管炎に特徴的な肝内、肝外胆管の炎症に伴うびまん性の壁不整や狭窄がみられます。さらに進行すると胆管全体に狭窄と拡張が混在する、いわゆる数珠状変化がみられるようになります。
3. 肝臓組織検査
病気の初期は特徴的な所見がありませんが、進行すると胆管周囲の同心円状の層状線維化(onionskin lesion)がみられます。ただし病変は不均一に存在するため、一部の組織を採取する針生検では特徴的な所見を得られないことがあります。

引用:慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイトKOMPAS
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000796.html

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長監修ドクターのコメント
原因不明の肝機能障害の方、特に炎症性腸疾患がある場合には、採血検査や超音波検査などで胆道拡張を確認し、MRCPや造影検査などを行い、比較的予後良好なIgG4関連硬化性胆管炎などの二次性硬化性胆管炎を除外して診断を行います。

原発性硬化性胆管炎(PSC)の治療方法

日本では多くの場合ウルソデオキシコール酸が使用され、これによってALP・γGTPの値は下がってきます。これらの値が十分低下しない場合、ベザフィブラートを追加することによってALP・γGTPはさらに低下することも明らかにされています。しかし、これらの薬がPSC自体の進行を押さえ、長期予後を改善しているかどうかについては十分なデータが得られておらず、今後さらに研究が必要です。また、胆道造影によって胆管の強い狭窄が認められた場合には内視鏡による胆管拡張治療が行われます。進行して肝不全に陥った場合には肝移植が唯一の治療法となります。

引用:厚生労働省難治性疾患政策研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」
http://www.hepatobiliary.jp/modules/disease/index.php?content_id=3

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長監修ドクターのコメント
現在、有効な治療法はありません。肝機能低下に対する対処療法になります。胆管の狭窄などに対して、内視鏡治療や外科的治療が行われることがありますが、効果は一時的と考えられています。また初期では、ウルソデオキシコール酸の内服で、採血データの改善を認める場合もありますが、予後を改善するかどうかは不明です。長期的には胆汁うっ滞性肝硬変に至る予後不良な疾患であり、肝移植が必要となります。肝移植は効果を期待できます。今も生体肝移植や、ドナーからの脳死肝移植などは行われています。しかし、再発する場合もあります。日常生活に関しては、ほとんど症状のない方は、特別の注意は必要ないと思われます。飲酒を控えるよう指導したりしますが、基本的にこの病気には関係ありません。


この記事の監修ドクター

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長

PROFILE

平成19年 北里大学医学部医学科卒業。平成19年 北里大学医学部医学科卒業。国際親善総合病院にて初期研修後、慶應義塾大学一般・消化器外科教室入室。平成21年 稲城市立病院 外科。平成22年 平塚市民病院 外科。平成23年 慶應義塾大学病院 一般・消化器外科。平成27年6月 厚木胃腸科医院院長。日本消化器内視鏡専門医。日本外科学会専門医。日本医師会認定産業医。日本禁煙学会認定指導医。

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