裂肛の症状や原因、治療方法とは?

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裂肛(読み方:れっこう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、医科サプリ編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
東 光邦 先生 東肛門科胃腸科クリニック 院長

裂肛とは

裂肛は切れ痔とも呼ばれる、肛門の粘膜に生じた裂傷または潰瘍です。

裂肛は、排便時の便が硬い場合や大きい場合、または頻繁な軟便のために、肛門が傷つくことによって生じることがあります。まれに肛門性交によって起こる場合もあります。肛門に裂傷ができると肛門括約筋がれん縮し、これにより痛みが悪化し、治りが悪くなります。

引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/03-消化器の病気/肛門と直腸の病気/裂肛

東 光邦 先生 東肛門科胃腸科クリニック 院長ドクターの解説
肛門上皮に出来た裂創のことで排便時に痛みと出血を伴います。肛門上皮は肛門縁(肛門の入り口)から約1,5cmほどの幅の部分で知覚神経があり傷が出来ると痛みを伴います。女性に多く見られますが便秘などで硬い便で排便時に傷をつけることで出来ることが多いです。また、頻回な下痢で浅い傷が多発することもあり便通異常にともなって起きるものです。

裂肛の症状

・排便時に痛みがある。
・排便時に少量の出血がある。
・排便後も痛みが続く場合がある。
・慢性化すると肛門が狭くなることがある。

引用:マルホ株式会社
hhttps://www.maruho.co.jp/medical/gp-life/diagnosis/di_05.html

東 光邦 先生 東肛門科胃腸科クリニック 院長ドクターの解説
・疼痛
排便時に痛みを伴い出血があることがほとんどです。痛みを伴うので排便を我慢して、その結果便が硬くなり更に肛門上皮に傷が出来るという悪循環に陥ることがあります。また慢性化してくると浅い傷が潰瘍となって炎症を繰り返し、スキンタグ(皮垂)や肛門ポリープを形成し、さらに潰瘍・治癒を繰り返し肛門上皮が硬くなり肛門狭窄になります。

・出血
裂創からの出血があり、多くの場合痛みを伴う出血です。

・脱出
慢性化して肛門ポリープが形成されると排便の度にポリープの脱出が見られるようになります。

裂肛の原因

肛門上皮損傷説:硬い便が肛門管を通過する際に生じ、その多くが慢性便秘症です。また下痢によって悪化する場合もあります。
肛門腺感染説:痔瘻と同じく肛門小窩の感染によって裂肛が誘発される場合もあります。
肛門上皮の虚血説:肛門後方の血流は他の部位の半分以下で、末梢血管が疎であることが裂肛の好発と関係していると推測されています。
肛門管静止圧上昇説:圧の上昇により肛門管の血流が減少することで裂肛が生じやすくなると考えられています。
1)~4)に述べた病因が一つではなく複数のことも多く、患者さんにより異なるのが現状です。

引用:日本大腸肛門病学会
http://www.coloproctology.gr.jp/aboutsickness/archives/13

裂肛の検査法

直接裂肛を目で見るか、肛門鏡を入れて裂肛を観察し診断します。

引用:大腸肛門病センター高野病院
https://www.takano-hospital.jp/support/disease/disease01/disease0106

東 光邦 先生 東肛門科胃腸科クリニック 院長ドクターの解説
・裂肛の原因
便秘などで硬くなった便が肛門上皮に傷をつけることが原因のほとんどですが、下痢便による粘液によって裂創ができることもあります。

・裂肛の検査方法
視診あるいは肛門鏡診(肛門鏡を使った診察)で裂創を確認します。慢性化してくるとスキンタグ(皮垂)や肛門ポリープが認められます。

裂肛の治療方法

1)保存的治療法 
a)便通の調節:便秘や下痢を起こさないように食事をコントロールすることが大切です。便秘に対しては水分と繊維成分を十分に摂取すること、また必要に応じて膨張性下剤を中心に内服を行います。
b)肛門の衛生:痛みや見張りイボにより肛門の衛生が保てないことも多いため、入浴・坐欲が有効です。また温まることで血流が良くなり、傷の早期治癒や痛みの改善につながります。
c)外用薬(表1)・内服薬:局所麻酔薬やステロイド含有の注入軟膏や座薬があり、症状によって適宜使用します。また鎮痛薬や抗炎症薬の内服を併用することもあります。
表1裂肛治療に使用される外用薬.pdf
2)肛門狭窄における外科的治療
a)肛門拡張術:切開は行わず、肛門に指を挿入して広げる方法です。軽度な機能的な肛門狭窄に行われます。
b)側方内括約筋切開術:肛門の皮膚からメスを入れ、狭くなった内括約筋を浅く切開します。機能的な肛門狭窄に行われます。
c)肛門皮膚弁移動術:裂肛部分および肛門ポリープや見張りイボを切除し、肛門の外側の皮膚の一部を移動して肛門を広げる手術です。器質的な肛門狭窄に行われます。

引用:日本大腸肛門病学会
http://www.coloproctology.gr.jp/aboutsickness/archives/13

東 光邦 先生 東肛門科胃腸科クリニック 院長ドクターの解説
基本的には保存的治療を行います。坐剤・軟膏・緩下剤などを使って便を柔らかくして排便習慣の改善を行い坐剤・軟膏などで症状を緩和して治療していきます。

生活習慣を見直して便秘・下痢に注意をし、毎日入浴して血行をよくすることも大切です。症状が悪化しないように香辛料の強いものやアルコールも控えると良いでしょう。

また、裂肛になりやすい人は肛門括約筋の緊張が強い場合があり、側方皮下内括約筋切開術という外科的に内括約筋の一部を切って緊張を和らげる手術を行うこともあります。また、同等の効果があるとして二フェジピン(降圧剤)の軟膏を肛門周囲に塗布するような治療法もあります。

慢性化して、肛門ポリープ・スキンタグを認め、狭窄となった場合には肛門形成術を行います。これは潰瘍・ポリープを切除し、狭窄を解除して肛門周囲の皮膚を肛門管内に滑り込ませる皮膚弁移動術(Sliding Skin Graft)を行います。程度にもよりますが肛門疾患は多くの場合日帰りでの手術も可能です。

日帰り手術も可能ですが慢性化させないように生活習慣を改善するようにしましょう。


この記事の監修ドクター

東 光邦 先生 東肛門科胃腸科クリニック 院長東 光邦 先生
東肛門科胃腸科クリニック 院長

PROFILE

1982年日本医科大学卒業。日本医科大学第2外科にて一般消化器外科、胸部外科を学ぶ。

1987年より社会保険中央総合病院大腸肛門病センターにて大腸肛門疾患の研究、診療に従事。

1995年より現職。

医学博士
日本大腸肛門病学会評議員
日本大腸肛門病学会指導医
日本消化器外科学会認定医
日本外科学会専門医
日本臨床外科学会評議員

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