食道がんの症状・原因・治療方法について

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食道がん(読み方:しょくどうがん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、医科サプリ編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長

食道がんとは

食道がんは、下咽頭(食道入口部に近い部分)から胃に至る28㎝くらいの長さの、食道の粘膜に発生するがんです。

食道の壁の構造は、内側から外側に向かって粘膜上皮、粘膜固有層、粘膜筋板、固有筋層となっており、がんは進行するとこの順に深く組織を侵します。リンパ節や他の臓器に転移することもあります。

日常生活での誘因として、過度の飲酒歴や喫煙が指摘されています。飲酒との関連では、アルコールの代謝に関わる酵素の欠損が、食道がんの原因として重要であることがわかってきました。少量の飲酒ですぐに顔が赤くなる人が、だんだん慣れてきて飲酒量が増えると、食道がんになる危険性は通常の人の何十倍にもなるといわれています。

粘膜内の浅いがんであれば内視鏡で治療できますが、粘膜層を超えると食道の切除と周辺のリンパ節廓清、及び胃や大腸による代用食道の作成といった大がかりな手術が必要となります。進行度により、放射線や化学療法も選択肢となります。

引用:シオノギ製薬
http://www.shionogi.co.jp/tsurasa/type/esophagus/

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長ドクターの解説
食道は、消化機能はなく、口から食べた食物を胃に送る働きをしています。食物を飲み込むと、重力で下に流れるとともに、筋肉でできた食道の壁が動いて食べ物を胃に送り込みます。食道の内側は、食べ物が通りやすいように、粘液を分泌するなめらかな粘膜でおおわれています。粘膜の下には、筋層との間に、血管やリンパ管が豊富な粘膜下層があります。食道の壁の中心は、食道の動きを担当する筋肉の層です。食道の出口は、胃内の食物の逆流を防止する構造になっています。これらは食道を支配する神経と、食道の筋肉の連係により働くしくみとなっています。食道には消化機能はなく、食物の通り道にすぎません。

また食道がんの背景として、喫煙癧と飲酒癧との強い相関があります。特に飲酒により顔が赤くなりやすい方で喫煙者の方は、食道がんの発生する可能性が高いことが報告されています。また、熱いものを飲んだり食べたりすることが、食道がんができる危険性を高めるという報告も多くあります。

食道がんの症状

食道がんは初期には症状が出にくいがんです。早期診断・治療ができた症例の多くは、人間ドックや検診で胃の異常を指摘され、上部消化管も含めた内視鏡検査を受けた際に、たまたま食道に発赤やわずかな凹凸といった病変があるのを発見された場合です。
食べ物が飲みこみにくいなどの嚥下障害が現れた段階では進行がんであることが多くなります。

引用:シオノギ製薬
http://www.shionogi.co.jp/tsurasa/type/esophagus/

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長ドクターの解説
食道がんは、初期には症状はまったくなく、進行すると、胸の違和感や、飲食物のつかえ感、体重減少、咳、声のかすれなどが出現します。症状はいずれも食道がんに特徴的なものではないため、注意が必要です。ただし、食道がんで症状が出た場合は、多くが進行がんであるため、定期的な検診(できれば上部消化管内視鏡検査:胃カメラ)を受けることが非常に大切です。

食道がんの原因

最大の誘因は飲酒と喫煙です。その他では、あつい食べ物、辛い食べ物、冷たい食べ物肉や魚のこげたもの等が考えられています。

引用:東京慈恵会医科大学 外科学講座
http://www.jikeisurgery.jp/diseasegroup/upper-dig/esophagus/esophageal-ca/

食道がんの検査法

食道がんの検査では、まず、1)食道がんを確定するための検査を行い、次に、治療方針を決めるために、2)食道がんの進行度を診断する検査を行います。

1)食道がんを確定するための検査
食道内視鏡検査と上部消化管造影検査(バリウム食道透視検査)の2種類があります。
食道内視鏡検査は、上部消化管造影検査で見つけにくい無症状、あるいは初期の食道がんを発見することもできます。
 
2)食道がんの進行度を診断する検査
食道がんの治療方針を決めるためには、がんの深さや周辺臓器への広がり、リンパ節や肺・肝臓などへの転移の有無を調べて、がんの進行度を診断する必要があります。そのための検査として、1)の検査に加えて、CT検査、MRI検査、PET検査、超音波検査、超音波内視鏡検査などを行います。

引用:国立がん研究センター がん情報サービス
https://ganjoho.jp/public/cancer/esophagus/diagnosis.html

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長ドクターの解説
食道がんの発見にもっとも有用なのは上部消化管内視鏡検査:胃カメラです。粘膜の色調の変化や隆起・陥凹などを直接見ることができ、病変の範囲や深達度などもある程度診断可能です(特殊な色素を粘膜に散布したり、特殊な光で観察したりします)。また、疑わしいところがあれば、組織の一部を生検し、がんなどの診断をすることが出来ます。内視鏡検査では、無症状の小さい初期の食道がんを発見することもでき、非常に有用です。

食道がんの治療方法

食道がんの治療方法は病期によって異なってきます。それぞれの病期と原則的な治療方針は次のようになっています。

・0期
1 内視鏡治療
2 手術

・Ⅰ期
1 手術
2 内視鏡治療
3 放射線治療と抗がん剤治療を組み合わせた治療
粘膜内にがんがおさまり、病変の範囲が広くないときは内視鏡治療を選択します。病変が粘膜を越えて粘膜下層におよびリンパ節転移がないときは、手術が標準です。
最近では、手術をしないで放射線と抗がん剤でがんを治したり、内視鏡で病変を切除したあと放射線と抗がん剤で治すことができるかどうかに関する臨床試験への参加を求めることがあります。

・Ⅱ期
1 手術
手術だけでは治癒率に限界があります。手術前に抗がん剤を使用して病変を小さくした後、手術で病変を切除することが標準です。

・Ⅲ期
1 手術
手術だけでは治癒率に限界があります。手術前に抗がん剤を使用して病変を小さくした後、手術で病変を切除することが標準です。
ただし明らかに周囲臓器に浸潤があり、手術であらかじめ取り切れないことが分っているときには放射線と抗がん剤治療を行ないます。手術ができない場合に臨床試験への参加を求められることがあります。

・Ⅳ期
1 放射線治療
2 抗がん剤治療
3 放射線治療と抗がん剤治療を組み合わせた治療
放射線治療と抗がん剤治療を組み合わせた治療。この方法が現在最も一般的です。 抗がん剤の使い方と量については様々な意見があり、より優れた治療方法を開発するため、臨床試験への参加を求められることがあります。

引用:愛知県がんセンター中央病院
https://www.pref.aichi.jp/cancer-center/hosp/12knowledge/iroirona_gan/01shokudo.html#a08

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長ドクターの解説
食道がんの治療には、内視鏡治療、手術、薬物療法、放射線治療などがあります。

早期でリンパ節などへの遠隔転移の可能性がないと考えられる場合は、内視鏡治療が選択されます。切除の方法には、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などがあり、病変の大きさなどによって治療方法が決定されます。切除の結果、追加で外科手術が必要なこともあります。

進行がんの場合はご本人の体調や、進行度に応じて、手術、放射線治療、化学療法などのさまざまな治療法を組み合わせて治療を行います。進行度によっては、化学放射線療法は手術と同じくらいの治療効果が得られるという報告があります。

以上のように食道がんの治療法は、病期、全身状態、年齢、合併するほかの病気などを考慮し決定されていきます。まずは自分の病状(病期)をしっかり把握し、主治医の先生としっかりコミュニケーションをとりながら、自分に合った治療法を選択することが大切です。


この記事の監修ドクター

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長寒河江 三太郎 医師
厚木胃腸科医院 院長

PROFILE

平成19年 北里大学医学部医学科卒業。

平成19年 北里大学医学部医学科卒業。国際親善総合病院にて初期研修後、慶應義塾大学一般・消化器外科教室入室。

平成21年 稲城市立病院 外科。

平成22年 平塚市民病院 外科。

平成23年 慶應義塾大学病院 一般・消化器外科。

平成27年6月 厚木胃腸科医院院長。

日本消化器内視鏡専門医。日本外科学会専門医。日本医師会認定産業医。日本禁煙学会認定指導医。

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