人工妊娠中絶の手術費用の相場と妊娠中絶が対象になる給付や制度

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やむを得ない事情で妊娠中絶を考えている人の中には、母体への後遺症だけでなく妊娠中絶費用に対して不安を抱えている人が多いです。手術や手術以外にもさまざまな費用がかかるため、妊娠中絶費用は安くはないといわれています。そこで、妊娠中絶手術の費用の相場や妊娠中絶することでどのような控除が受けられるのかなどについて、医科サプリ編集部がお届けします。

人工妊娠中絶の定義

一般的に使われている「中絶」や「妊娠中絶」は、「人工妊娠中絶」=「人工流産」を指しているケースが多いです。人工妊娠中絶とは、胎児が母体外に出て生命を保持することができない時期に、人工的に母体外へ排出されることと母体保護法で定義されています。

人工妊娠中絶が認められるケース

やむを得ない事情から母体保護を目的として行われる手術ですが、受精卵が子宮内膜に着床し、妊娠の成立が確認されれば、まだ人の形をしていなくてもひとつの大切な命です。

母体保護法では、身体的または経済的理由で母体の健康に影響が出るという理由から人工妊娠中絶手術を受ける場合、本人と配偶者の同意が必要となっています。脅迫や抵抗できない姦淫による妊娠の場合は、本人の同意のみで妊娠中絶が可能です。未成年の場合、保護者の同意が必要だと思う人が多いですが、母体保護法では、一方もしくは両者が未成年の場合でも夫婦関係にある本人の同意かどうかがポイントになるため、保護者の同意に関係なく本人の同意のもと行われるのが一般的です。

また、日本では、人工妊娠中絶手術も母体保護法により都道府県の医師会が指定する医師「母体保護法指定医」しかできないものとされており、非合法的な理由で堕胎(だたい)させないよう定められています。

人工妊娠中絶が可能な期間と費用の相場

人工妊娠中絶は、中絶を行うタイミングによって行われる手術方法が違うため、タイミングによって費用が異なります。また、時期によっては中絶ができないため、人工妊娠中絶を検討しているのであれば費用の相場だけでなく、中絶が可能な期間についても押さえておきましょう。

人工妊娠中絶は妊娠中期(妊娠22週)未満まで可能

日本では、妊娠22週未満の胎外生存は難しいことから、妊娠22週未満(妊娠21週6日まで)であれば人工妊娠中絶が可能とされています。妊娠週数によって人工妊娠中絶の手術方法が違うため、大きく12週未満と12週以降で分けて考えられるケースが多いです。

妊娠初期(12週未満)は10万円~20万円が相場

妊娠初期では、子宮内容除去術による堕胎が一般的です。方法としては、子宮内の内容物をトングのようなもので引き出し、スプーンのような器具を使ってかきだす掻爬法(そうはほう)または掃除機のような吸引機を子宮内に挿入して吸い出す吸引法があります。

いずれの手術も難しいものではないため、通常であれば10分~15分くらいの手術時間で済むことが多いようです。手術自体は麻酔が効いた状態で行われるため、痛みや出血もほとんどなく、手術後の体調に問題がなければ手術日当日に帰宅できることがほとんどです。日帰り手術の場合であれば、手術前に行われる尿検査、エコー検査、血液検査、内診、問診などの検査費用を含めても10万円~20万円くらいといわれています。

妊娠中期(12週以上~妊娠22週未満)は30万円~50万円が相場

妊娠12週以降は、分娩のように子宮収縮剤で陣痛を誘発させて流産させる方法が一般的です。出産と同じくらい身体に負担がかかるため、個人差はありますが数日間入院となることが多いようです。入院となる分、妊娠初期の人工妊娠中絶よりも費用が高めで、手術前の諸費用を含めるとだいたい30万円~50万円が相場とされています。

また、妊娠12週以降に人工妊娠中絶をすると死産届を役所へ提出して母体外へ排出された胎児の埋葬許可証をもらい、赤ちゃんを火葬する必要があります。妊娠中期は、手術費用だけでなく入院費用や中絶後の手続きの費用もプラスされるため、経済的な負担がより大きくなりやすいです。

人工妊娠中絶で健康保険が適用になるケース

経済上の理由による人工妊娠中絶は保険適用外のケースがほとんどで、手術費用はもちろん中絶手術に関連する検査費用なども全額自己負担となります。ただ、妊娠中に胎児が子宮内で死亡するケースや、妊娠を継続することで母体の健康や生命へのリスクが大きくなるといった治療の一環として妊娠85日(妊娠12週1日)以降に人工妊娠中絶を行った場合、健康保険が適用されることがあります。

人工妊娠中絶に関する給付や利用できる制度

人工妊娠中絶は全額自己負担となるケースが多いです。ただ、妊娠中絶でも給付やさまざまな制度の対象になる可能性があります。

出産育児一時金

人工妊娠中絶に至った理由に関係なく、妊娠85日(妊娠12週1日)以降に人工妊娠中絶を行った場合、出産育児一時金の対象になります。支給額は、産科医療補償制度に加入している産院なら1児につき42万円、加入していない産院なら40.4万円(平成27年1月1日以降の出産)です。多胎児の場合は、出産された胎児分支給されます。

医療費控除

国税庁によると、母体保護法指定医による人工妊娠中絶の費用に関しては、健康保険が適用にならなかった人工妊娠中絶でも医療費控除の対象になるとされています。医療費控除では、病院までの交通費や手術以外の費用を含んだ金額を申請できるため、確定申告をすることで費用的な負担が軽くなる可能性があります。

高額療養費制度

健康保険組合や市町村国保など公的医療保険が適用になる診療で患者が支払った自己負担額が高額だった場合、申請をすることで一定の金額を超えた分が後から払い戻される制度です。全額自己負担だった人工妊娠中絶手術の場合、対象外となりますが、身体的にやむを得ない理由で行った中絶手術であれば、高額療養費制度の対象となる可能性があります。

一定の金額は年齢や所得によって細かく段階分けがされているため、加入されている医療保険または住んでいる地域の自治体に問い合わせましょう。

妊娠中絶を考えているならタイミングが大事

妊娠を望む人がいる一方で、望まない妊娠に悩んでいる人がいます。妊娠を望んでいないのに妊娠をすると中絶を考える人が多いですが、母体への身体的な理由ではなく経済的な理由で人工妊娠中絶を行う場合は、自己負担が基本で費用が高額になるケースがほとんどです。

早いタイミングで人工妊娠中絶を行うほど費用の負担が軽く済むため、妊娠中絶を考えているのであれば、早めに決断をするのがよいかもしれません。ただ、費用も心配ですが、堕胎することで身体的ダメージや精神的ダメージの両方を味わうことになります。パートナーや家族とよく相談し、医師の話をよく聞いてから検討するようにしましょう。

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